2011-01-01から1年間の記事一覧

読書記録『楡家の人びと』(北杜夫著、新潮文庫)

本日ようやく読了。大正から戦後の時代を中心に、精神病院を営んだ楡家とその周辺を描く人間のドラマ。ながーく淡々と続くテンポは、NHKの朝ドラみたい。人が病気にかかったり、死んだり、失踪したり、戦争が起きたり、「よくない」ことがたくさん起こる楡家…

加瀬亮!

アンテナ スペシャル・エディション [DVD]出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ発売日: 2004/07/23メディア: DVD購入: 1人 クリック: 112回この商品を含むブログ (54件) を見る田口ランディの原作が盗作らしく、あまり大々的に知られていない気配の『…

Bo-ku,Wata-shi,O-re.

shi

最後の電車は闇に逃れ 雨上がりの河口は窒息 虫けらも住まいを追われ 鳴声は遠く前も後ろも 右も左も消息は絶え 名を失う失って 不思議なものだ 初めて存在が始まる時間を置き去りに ただ空間だけを吸い込む その都度 瞬間部屋の鍵をさし込む 名を獲得し あ…

読書記録

モダンタイムス(上) (講談社文庫)作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/10/14メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 75回この商品を含むブログ (109件) を見るモダンタイムス(下) (講談社文庫)作者: 伊坂幸太郎出版社/メーカー: 講談社発売日: …

ざっくり自転車トレーニング計画(備忘録)

目標:2012ヒルクライムシリーズ参戦(蔵王、美ヶ原、鳥海、乗鞍のうち3大会)11〜1月:基礎体力をつける 自転車通勤、週末100km以上のライド。LSD主体で無理して踏まない(フロントギアはほとんどインナー39Tで)。腹筋・背筋を中心とした筋力トレーニング。ハ…

車輪のうえ(12)

朝から雨が降っている。 スコールというわけでもなさそうで、しばらくのあいだ降りそうだったので、けっきょく雨があがるのを待つことなく、8:00過ぎには宿を出る。すぐに激しい雨。少し走ると雨は止んだが、またいつでも来そうな予感。変わりやすい天気とい…

車輪のうえ(11)

7:15にポート・ディクソンのユースホステルを出る。前半は高原めいたところを走るが、大型車両が多いうえに道が狭く、ストレスフルな道。後半はただひたすらの直線で退屈極まりない。自転車は慣れてくると、乗りながら休んだり、退屈したりできるようになる…

びっき 2011年9月号

だいぶ涼しくなりましたね。都内の公園の芝生で、体育座りでぼーっとしたい気分です。高校時代の部活の帰り道、日が長い季節に練習で疲れたカラダでフラフラ自転車をこぐとき(そう、ぼくらは西日に向かって帰っていた)、「永遠にこの瞬間が続けばイイな」と…

読書記録

「秋の蚊」について調べる必要に迫られ、ネットの情報も乏しいので(というか画一的で面白味に欠けたので)とりあえずアマゾンで蚊についての文献を検索するも、わりと最近出版されたもので、良さげなものがない。学術的なものを最初は期待していたのですが、…

読書記録

白い人・黄色い人 (新潮文庫)作者: 遠藤周作出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1960/03/17メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (20件) を見る遠藤周作の作品で最初にこれを読まなくてよかった。これまで読んできた氏のあとの作品群のモチーフが…

読書記録

ようやく読了。最近、仕事の時間割の関係で体力、気力ともに読書モードではなかったので、だいぶ時間がかかってしまいました(速ければいいというものでもないが、それにしても文脈を忘れるくらい時間を要した)。侍 (新潮文庫)作者: 遠藤周作出版社/メーカー:…

ことばはめぐる

つい昔きいた、記憶のなかにある谷川俊太郎さんの詩を読みたくなり(本というメディアで手元に置きたくなり)、アマゾンで古本を購入。古本は基本的にきれいな状態のものを買いたいのですが、安いのがなかったりするばあい、総合的に考えて状態の比較的悪いも…

『眠られぬ夜のために』ヒルティ

眠られぬ夜のために〈第1部〉 (岩波文庫)作者: ヒルティ,Carl Hilty,草間平作,大和邦太郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1973/05/16メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 68回この商品を含むブログ (35件) を見る仕事で疲れて家に帰って気絶、ということで…

びっき 2011年8月号

雨ですね。気温も快適。暑くもなく寒くもない雨の日は、じつは一年のうちそんなになくて、けっこう貴重なのかもしれない。風もなく、窓を開けても雨が入ってこないので、その気配をじっくり楽しむことができる。アブラゼミのカナキリ声につかれたこの耳には…

ある人間Aのためのデッサン

shi

ただその時々の感情に身を委ねることなく、いったんはアタマで受け止め、自分なりに理解し、常識や、周囲の空気をふまえたうえでものごとを判断していくことが、正しい人間の在り方だと思って生きてきた。それはたしかに正しい。あるひとは、こんな態度を「…

車輪のうえ(10)

この日の目的地、ポート・ディクソンというところは、人工の白いビーチだという。海派か山派か、と問われれば、迷わず「中とって陸派!」と答えるぼく(エクストリームな環境は苦手なチキンなので)には、「白いビーチ」は大して魅力的ではない。しかも人工…

読書記録

地元に帰省した際の新幹線で読了。せせせせ背中が痛く、最後はかなり集中できず1冊は予定通りに進捗しなかったので、後回しです。長時間同じ姿勢はキツいっす。ピキーン!て、背中が。ピキーン!IP/NN 阿部和重傑作集 (講談社文庫)作者: 阿部和重出版社/メー…

読書記録

イエスの生涯 (新潮文庫)作者: 遠藤周作出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1982/05/27メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 18回この商品を含むブログ (45件) を見る前回読んだ『死海のほとり』と対をなす作品。福音書をフォローしながら、イエスの生涯に迫る。…

読書記録

死海のほとり (新潮文庫)作者: 遠藤周作出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1983/06メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 34回この商品を含むブログ (24件) を見るまとまった時間がなかったこともあって、読むのに少し時間がかかりました。最初、世界に入り込めず…

rei harakami 追悼

コトバは不要です。Red Curbアーティスト: Rei Harakami出版社/メーカー: ミュージックマインID発売日: 2001/04/25メディア: CD購入: 4人 クリック: 76回この商品を含むブログ (141件) を見るLustアーティスト: Rei Harakami出版社/メーカー: ミュージックマ…

心理描写の練習

忘却ということを考えている。それなりに長く生きていると、忘れてしまいたいこともある。しかし忘れてしまいたいことほど、持病のようにある瞬間に(そう、それこそ雨の日なんかに)、その症状をぶりかえすのだ。積極的な忘却など、可能だろうか。禅問答だ…

人間が造ったものではありますが

なんだか朝起きて急に思い立ち、発作的に国立美術館でやっている「空海と密教美術展」に行って参りました。空海といえば遣唐使として大陸にわたった、真言宗祖、三筆として知られるスーパー僧侶。やはりひとが多くて空海の筆は観づらい感じでしたが、それで…

読書記録

先週末は電車での移動時間がけっこうあったり、夜眠れなかったりしたので、読書が進みました。しかし、本を読めるだけマシです。本も読めない精神やカラダの状態だったら、いよいよ逃げ場がない。 悲しみの歌 (新潮文庫)作者: 遠藤周作出版社/メーカー: 新潮…

車輪のうえ(9)

いまのところ、しっかり生きている。そりゃそうだ、たいしたことは、まだなにもしていない。 バトゥ・パハからムアルを経てマラッカに至る2日間は、日に50キロ程度の走行だったが、相変わらず暑さには慣れず、すぐグッタリする。スコールも多く、そのたびに…

読書記録

背中がコリすぎて集中力がなく(もともとかなり注意力散漫ですが)、最近まったく本を読んでいなかったのだが、整体に通うようになってかなりマシになったので最近読んだものを記録の意味も含めとりあえず羅列(リハビリを兼ねた再読も含む)。なかなか思うとこ…

車輪のうえ(8)

熱帯(亜熱帯もそうかな)の家屋には、守衛が棲みついている。突然、キュキュキュ!と鳴いて、朝には黒い小さなフンを置いていくだけだが。「夜漏り」とはよくいったものだ。 日本の自分のイエにいたらうっとうしいかもしれないが、旅先で寛容になっているのか…

車輪のうえ(7)

ぼくが笑顔を返すと、バイクのオヤジは、はにかみ気味に走り去っていく。かわりにぼくが赤いイガグリを後ろにのせて走る。 自動車のクラクションは、少なくともこの文章よりもうまく感情表現をする。自転車ツーリングが珍しいのか、外国人が珍しいのか、かな…

車輪のうえ(6)

ムスリムの国である。薄明のなまぬるい空気に、街のスピーカーからムカデのように文字が這い出てくる。夜中、蚊の羽音に苛まれた身としては、またムシかよ、という気分になる。この国の朝は、コーランで始まるのである。このムカデがうっとうしかったのは、…

車輪のうえ(5)

長い旅の途中にある者には、帰る場所はない。 帰る場所すら一時的に棄て(なかば意図的に棄てているのだ)、ここに来ているのだから。あるのは、世界とぼくと、世界とぼくとの両方から逃げるための、一時的な寝床だけだ。ベッドのうえでだけ、すべてから逃げる…

「デジタル・デバイド」再考 〜「in-dividual」としての「個」〜

「デジタル・デバイド」は大学生の頃(2000年代前半)、いわれていたことだと思う。簡単にいえばインターネットに接続しているひとたちと、接続しない(できない)ひとたちとの間に生まれる情報の格差。当時の論調では、確か接続しているひとたちが情報をもたざ…