読書記録

イエスの生涯 (新潮文庫)

イエスの生涯 (新潮文庫)

前回読んだ『死海のほとり』と対をなす作品。福音書をフォローしながら、イエスの生涯に迫る。イエス研究者の諸説、遠藤周作自身の(おそらく作家特有の芳醇なインスピレーションに基づく)推測で、教科書的文体ながら、ストーリー性があり、飽きずに小説的に読むことができた。ぼくはこれまで読んだなかでは、おそらくもっとも「人間」としてのイエスに迫っている(それが史的な「事実」かどうかという問題については文中の遠藤氏の考え方を参照されたい)。

先述の『死海のほとり』を先に読んだほうが、人間的な共感を得るにはイイと思う。つまり、より楽しく読める、という意味で(ぼくは安易な感じで読書に「実用性」を求めるようなプラグマティックな考えは好きではありませんが)。

もちろん、これを読んだからといってキリスト教をなにか理解したような気分になるのは、早計に過ぎる。いまぼくらがみる「西洋世界」はキリスト教的な考え方を無視して理解することはできないし(いうまでもないか)、キリスト教圏の文化(もっと広義に、人びとの思考様式、行動様式)は、原始キリスト教ではなく、キリスト教の解釈の積み重ねによって成立している。最近改めてこの宗教について勉強しているつもりだが、道のりは長い。めんどくせえな…。こういうことをやめられない自分の性(SAGA)が、もっとめんどくさい感じですが。


へうげもの(13) (モーニング KC)

へうげもの(13) (モーニング KC)

石田三成の苦悶が笑えて泣ける。織部は緑釉のために銅山確保に奔走!(ってほどでもないか、ゲヒヒ)