地元に帰省した際の新幹線で読了。せせせせ背中が痛く、最後はかなり集中できず1冊は予定通りに進捗しなかったので、後回しです。長時間同じ姿勢はキツいっす。ピキーン!て、背中が。ピキーン!
- 作者: 阿部和重
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/07/15
- メディア: 文庫
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題名からも察せられる通り、トキのお話。鴇谷(とうや)という名の童貞の男の子が、自分の名字に鴇(とき)という文字が使われていることから、佐渡のトキに異常なまでのコンプレックスを抱き、スタンガンを買ったり、催涙ガスを買ったり、元同級生の女の子をストーキングしたり、トキの交尾にジェラシーを感じたりする話です(ぜんぜんわかんないですね)。クライマックスは「ニッポニア・ニッポン問題の最終解決」のため、高速ジェットフォイルで佐渡島に渡ります。そこで童貞が遭遇したのは……!
三島由紀夫の『金閣寺』を思い出します。少年の未「成熟」な性的満足や、自己承認欲求、独我論的世界観などが、トキに人びとが投影した世界の欲望と対をなしていて興味深い。その対比は、善悪でも優劣でもないけど、少年は弱く崩れる。
- 作者: 木田元
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/05/28
- メディア: 文庫
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「反哲学」。この本でいいたいことは、通常、哲学史において、ソクラテス→プラトン→アリストテレス→…→カント→ヘーゲルその他もろもろ、といった一連の流れと、ニーチェ以降のそれとは明確に区別されなければならないということ。ニーチェ以前を「哲学」というのならば、ニーチェ以降の立場は哲学を批判的に継承した「反」哲学ということになるらしい。
まあ、『ツァラツストラ』とか読んでテンション上がっちゃいますなんてひともかなり少ないとは思うが、『ニーチェの言葉』なんて流行ってるし、興味のあるひとは読んでみてもいいかもしれません。要はニーチェのいう「力への意志」とか「超人」なんて考え方が、旧来の形而上学的世界観(ここではつまり哲学)を、どのように批判的に解釈し、克服しようとしたのか。なぜ、そもそも「理性」の礼讃ともいえる「西洋哲学」を乗り越えようとしたのか、その時代的背景とはなにか、この転換の解説が、この本のキモです(少なくともぼくにとって)。