読書記録『オオカミと人間』(バリー・ホルスタン・ロペス)

 

 同じく角幡唯介氏の推薦書。

 

オオカミと人間との関わり合い(特に北米におけるオオカミ「迫害」)を描く。オオカミの生態そのものというよりは、タイトルの通り重きを置かれているのは人間史のなかでのオオカミであり、いかに人間たちがいかに「不当に」オオカミを追い詰めてきたか、オオカミという存在をどのように捉えてきたか、が書かれている。神話や童話などにおけるオオカミの描かれかたや、宗教裁判や魔女狩りとの関連なども興味深い。

 

人間の集団、社会が、いかに無意識に自分たちが正しいと思って結果的には間違ったことをしてしまうのか。その一例として参考になる。まあ、「間違ったこと」といっているのは、過去を非難しているのではなく、同じことを繰り返さないための反省でとしてである。