角幡唯介氏の本で紹介されていたのと、最近ノンフィクションの読書が多いのでその反動で小説を読みたくなり。
ある地味な妻子ある中年男が、突然家族を捨てて消えた。恋人とともに妻のもとを去ったと思われた男は実は、絵描きになるためにそうしたのだった。「わたし」は身勝手なその男にイラつき、呆れ、怒りを感じながらも、その世界観には惹かれるものがある。なぜその男はすべてを捨てて画家を目指したのか。
世界と相対して、いかに生きるか、自分という存在をいかに生かすか。そういうことをシンプルに直球で描いた稀有な小説と思う。ちなみにこの画家のモデルはポール・ゴーギャンとのこと。