読書記録『宮沢賢治ー存在の祭りの中へ』(見田宗介)

宮沢賢治―存在の祭りの中へ (岩波現代文庫―文芸)

宮沢賢治―存在の祭りの中へ (岩波現代文庫―文芸)

題名からして意味不明だし、この著者の社会科学以外の著作にありがちなポエムの雰囲気が序盤取っ付きにくく、内容がまったくアタマに入ってこない。あるいは宮沢賢治をそうとう読み込んでて、それぞれの作品の詳細を即座に想起することのできる読者にはすんなり受け入れられるのかもしれない。

しかし、中盤以降、賢治のパーソナリティに迫るところはおもしろい。賢治の出自に由来する罪の意識とか。自らを「修羅」とする賢治のこころの在り方とか。ちなみに著者はこの本を「ふつうの高校生」に読んで欲しいと思って書いたらしいが、高校当時の自分を考えても「ふつうの高校生」にはまず読めない。現代文のテストで出たら出題者に殺意を覚えるレベル。もちろん、読みやすさを重視することでクオリティを下げることはしていないと断っているけれど。