読書記録『日蝕』(平野啓一郎)

日蝕 (新潮文庫)

日蝕 (新潮文庫)

なぜか定期的に読みたくなる、いかにも怖いもの見たさのまがまがしい小説w 少なくとも3回は読んだ。最初は高校の時分、次は20歳代なかば、そしていま30代前半。ウンコ高校生のころははっきりいってナカミをまったく理解していない。読むのが苦痛のくせに、ただただ読了したという事実のために読んだ。少し年上の当時京大生だった平野啓一郎のデビュー作にして芥川賞受賞作品。勘違いもはなはだしく噴飯モノだが、そういった才能に対する憧れがおれに当時あったことは否定できない。

最近、異端審問に関する本を読んだし、高校生のころよりは多少キリスト教の知識があるので、読むたびに理解が深まる感じがして、好きな小説だ。異端審問、魔女狩り錬金術、擬古文、衒学的、そういったキーワードにビビッとくる方におすすめする。

ちなみに平野啓一郎の作品で好きなのは、ショパンドラクロワの交流を描いた『葬送』(新潮文庫)、人間の悪性と現代社会に照らして描かれた『決壊』(同)かな。わりと最近の『ドーン』(講談社文庫)、『空白を満たしなさい』(講談社)などは、自己同一性や自殺などをめぐる現代的な問題に積極的に取り組んでいて、かなり好きだが文体があまり好みではない。いずれにせよ応援している作家さんです(つまりファン)。

葬送 第一部(上) (新潮文庫)

葬送 第一部(上) (新潮文庫)

決壊(上) (新潮文庫)

決壊(上) (新潮文庫)

ドーン (講談社文庫)

ドーン (講談社文庫)

空白を満たしなさい

空白を満たしなさい