バイパーボア(Viper Boa)の飼育

ジツは今年の5月から家に迎えておりまして。ものの本には「輸入時点で調子を崩していることが多く、バイパーの飼育は立ち上げが難しく短命で終わることが多い」といった主旨の記述が多いので、飼育ビギナーの自分には無縁の種かなと思っていたわけですが、飼育しやすいサイズ感、なによりもその悪そうな面構えのカッコ良さが気になっておりました。それで5月くらいにカーペットパイソンでもお世話になったお店で選べるくらいの入荷があったので、挑戦してみることにしたのです。しかもネット記事も少ないように思われるので、今回書いてみます。来年は巳年だし。

さて、バイパーボア。
学名:Candoia asper
分布:インドネシアニューギニア

特徴はなんといってもその太短い、ツチノコを思わせる体型、厳ついゴツゴツした頭部、ゴジラみたいなキール(刺上の鱗の突起)。ちなみに英名のViperとは「毒ヘビ」の意味で、マムシとかそのへんの有毒ヘビを思わせる外観から、そう名付けられているとのことでございます。サイズは最大でも50cm(60cmと書いている本もある)で、プラケースでも飼育可能なサイズではありますが、太くてアタマも大きいので、うちの120cmのカーペットパイソンよりもかなり迫力があります。ふつうに怖い。食性ですが、現地ではカエルを主に食べているということで、飼育の際には冷凍マウスに餌付いていることが重要です。気性は基本的に荒くハンドリングするヘビではないと思われますが、着火(?)するまでは時間がかかるので、掃除で移動する必要があるときは、テキパキとつかんで動かしてしまえば、うちの個体はそんなに怒りません(ちなみにいちど怒らせてしまうとけっこう収拾がつかなくなり、魚みたいに全身をビッタンビッタンさせて暴れます。全身が太い筋肉なのでけっこう力強い)。

先にも書いた通り、あまり飼育情報があるとはいえない種類なので、まずは安定した個体を入手することが肝要。サイズ的には若い個体は避け、かつ冷凍マウスに餌付いている個体を購入することにしました。サブアダルトの全長40cm程度。ちなみにバイパーは地味そうでいながらカラーバリエーションがあり、全身が赤いスーパーレッドとか、ぼくが飼育しているお腹の赤いレッドベリー(写真)、同じくお腹が黄色いイエローベリーなんかがあるようです。みたことはないですが、ブラックボディのイエローベリーとかいたらカッコいいですよね。

飼育環境は、全身が入る水入れと、湿地帯並みにしたミズゴケの床材。温度は28〜30℃、夜は冬になって20℃くらいまで下がってしまいますが、調子は悪くないです。ほぼ動かない著しく不活発なヘビで、エサの間隔もだいたい半月に1回程度アダルトマウスを1匹、フンも外気温とか湿度とかにもよるんでしょうけど、5月に飼育を始めてからこれまで4回しかしていません。脱皮もこれまで1回で(サイズを考えたら当然)、代謝が低いヘビだからなんだとは思いますが、眼の白濁が確認できてから2週間で脱皮に至りました。脱皮後は背中の白いスポットがはっきりして、背中はより黒く、かつお腹の赤色も鮮やかさを増し、コントラストが強くなって非常にカッコいい体色に。

ちなみに、床材ですが、秋口にミズゴケが黴びることがあったので、現在は新聞紙にしています。その場合、ほとんど水入れに入っていて、ほぼ出てきません。そのために調子を崩した様子ではないのですが、ほんとうはミズゴケで湿地をつくったほうがのびのびできていいのかもしれません。