- 作者: 平野啓一郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/11/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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平野啓一郎の先の小説『ドーン』(講談社文庫)から続く、かれの説くところの「分人主義」(dividualism)の集大成?ともいえる本作は、年間3万人も自殺しているこのいまの日本に、実践的に向き合おうとしていることは確かで、ぼくはこういう現実にコミットしようとする意欲が好きで、かれの作品を読んでいる。ぼくも自分のばあいも他者のばあいも、自殺についてはよく考える(つねに死にたいと思っているわけではございません、5回に1回くらいかなw)ので、とくに本作は読まずにはいられなかった(ちなみに前作の『かたちだけの愛』(中央公論新社)は、登場人物のパーソナリティが現実離れしすぎていて駄作と思われるので読まなくてもよい)。
死について考えないひとはいないだろう。「死人」を主観で真剣に書いている本も少ないし、読後感はけっこう爽やかだったので、年末年始に読むのもよいかと思います。ちなみにぼくは、「自殺するにしてもそう簡単に死ねないな…」と、わりと元気になりました。
参考: