- 作者: 平野啓一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2014/06/30
- メディア: 単行本
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「ページをどんどん捲りたくなる」小説ではなく、「ページを捲らずにいつまでも留まっていたくなる」小説。
(単行本帯)
ということで、ここ最近氏が描いてきた「分人主義」に「一区切り」ついて出版された短編集。著者の希いに反し、あっという間に読んでしまった。なのであとでまた夏の帰省の移動中にでも読もうと思います。
近年の「分人主義」作品では、露骨といえるほどに現代的な問題(『ドーン』ではけっこう未来ですが)にコミットしてきたわけですが、今作は誤解を恐れずにいえばいい感じに力が抜けているというか、シンプルかつ丹念な力の注ぎかたをしている印象を受けました。単純に「小説家」としての力を自分自身で確認しているような。「読ませよう」という力みが少なくとも表面には出ていない。分かりにくい例でいえば、ソロ活動をしばらくしたあとに、単純に「ヴォーカル」に専念して作られた宮沢和史のアルバム『SPIRITEK』みたいな感じ。
ともかく好きな本です。ちなみに装丁はムンクの『接吻』で、かなり手が込んでて所有欲をそそりますが、夏の汗でシワシワになるのでカバー必須。
- 作者: 平野啓一郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/05/15
- メディア: 文庫
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- アーティスト: 宮沢和史
- 出版社/メーカー: EMIミュージックジャパン
- 発売日: 2012/03/21
- メディア: CD
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