- 作者: みうらじゅん
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/05/14
- メディア: 新書
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その遍歴を知っている方は、このお方の愛すべきマニアックぶりとダメっぷりに共感してやまないことでしょう。『マイ仏教』はそんなみうらじゅんのエッセンスがコンパクトに凝縮された本だといえます。氏の従来からのファンにとっては、彼が何を考えているかを知る(あえていいますが)「良書」と思います。また、いきなりみうらじゅんのひととなりを知らずに、「仏教」に惹かれてなんとなく読むひとには「?」な感じかもしれません(辛うじて仏教の知識があるひとはツッコミをいれつつ楽しく読むこともできるかもしれませんが)。かといって、なんとなく読んでなんとなく「元気」になれる書であるかもしれません(我ながらどっちつかずの悪レヴューだ)。「自分なくし」とか「後ろメタファー」とか、彼の造語に直感でピーン!とくるひとにオススメします(我ながら感覚的なレヴューだ)。
- 作者: 中島義道
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2002/10
- メディア: 新書
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極めて簡単にまとめると、人間ってなぜかこの世に生まれてきて、生まれる環境も育つ環境も不平等だし、誰かの「幸福」は誰かの「不幸」のうえに成立している。まして「死」という絶対的なものが存在している以上、「幸福」は錯覚であり、その追求は欺瞞である。こんな感じです。
自分自身とは何か、それがどこかにころがっているわけではない。(中略)
それは各人が生涯をかけて見いだすものだ。しかも、それはあなたの過去の体験のうちからしか、とりわけあなたが「現におこなったこと」のうちからしか姿を現さない。とくに、思い出すだけでも脂汗が出るようなこと、こころの歴史から消してしまいたいようなこと、それらを正面から見すえるのでないかぎり、現出しない。(パウロの刺のように)あなたを突き刺すあなた固有の真実を覆い隠すのでないかぎり、見えてこない。
幸福は、こういうことをすべて考えないようにすることによって成立している。
だから、あなたは自分自身を手に入れようとするなら、幸福を追求してはならない。あなた固有の不幸を生きつづけなければならないのである。(pp.203-5)