読書記録『女の一生 一部・キクの場合』(遠藤周作)

女の一生〈1部〉キクの場合 (新潮文庫)

女の一生〈1部〉キクの場合 (新潮文庫)

江戸末期〜明治における切支丹弾圧(「浦上四番崩れ」と呼ばれることをこの本を読んで知りました)を描く。宣教師の棄教をモチーフとした『沈黙』(新潮文庫)よりも、庶民の視点が強く、より人びとの生活における愛や信仰が主題になっている。遠藤周作の、「宗教」ありきの信仰ではなく、つねに個人の視点あるいは立場から出発する信仰の描き方は、相変わらず、登場人物の問題を読者が自分の人生における問題に引き寄せて考えられるきっかけとなっている。読んでよかった。『沈黙』も併読されることをおすすめします。
沈黙 (新潮文庫)

沈黙 (新潮文庫)