むかし「ファーブル昆虫記」という下ネタ一発芸を

風呂からあがり、湯船に腰かけ汗がひくのを待って、しばらく虚ろな宙を見つめて髪から落ちる水滴の残像をみとめたあと、図と地が逆転してへそに目がいく。くぼみに水が溜まっていて、心拍にあわせて水面がわずかな、しかし動的で生々しい律動をみせる。ふだんより速い震え。おお、下腹部に小動物を飼っているみたいだ。こういうのをポケモンというのだったかな。

小動物といえば、毛。特に顔。鼻毛は油断してるとコンニチハしてるし(夜はコンバンハしてるし)、ヒゲに至っては気を抜くとモミアゲやそれこそ鼻毛と手を結ぼうとするし、そのふるまいたるや人間をあざ笑うウイルスのようで、直ちに害はないからいいものの、毎日剃らねばならない煩わしさといったら、小憎たらしいことこの上ない。死体でも伸びるというし。おお、わがカラダ、醜くも愛らしい存在!

決まって腕のほくろに生える毛、こめかみのうえに生える白髪、そんなものもある。気づいた頃はなんか抜いたらヤバいような気がして大切に扱っていたが、思春期のロックな気分になったある夜に「自分」を超えてみたくて勢いで抜いたら、その後何度もしぶとく蘇るのでどうでもよくなった。おお、永劫回帰(かなり違う)輪廻転生!(だいぶ違う)

ぼくの友だちにはマジメなひともいるので、こういった類いのハナシはエスカレートするとマジギレされるから、この辺でさようなら。