読書記録『火花』(又吉直樹)005-2017

火花 (文春文庫)

火花 (文春文庫)

ようやく読んだ話題作。主人公の芸人の先輩・神谷さんのクライマックスが唐突だが、全体としてはおもしろく読んだ。読み始めに比喩や描写がちょっとうっとうしいかと思ったけど、わりと自然。これは当初読み手側が(無意識的にであれ)、又吉氏が「お笑い芸人だから」というバイアスで見ていたからだと思うが。最後の方では「小説家」の小説として読んでいた(つまり自分のバイアスを感じなくなっていた)。

この本をきっかけにこれまで本を読んでいなかったような若い人たちが、本を読むようになってくれたら嬉しい、みたいなことを又吉氏がどこかで言っていたと思うが、それは同意。まあ、文学ってエロ本みたいなもんで、堂々と「読んでます」って他人に言わずに隠れてこっそり触れるものだとおれは思うが。