- 作者: 平野啓一郎
- 出版社/メーカー: 毎日新聞出版
- 発売日: 2016/04/08
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (23件) を見る
毎日新聞に連載されていたということで、展開はテンポよく、飽きない。たびたび出てくる、作者特有のテーマが硬質のダイアローグ(ときにモノローグ)も、チープさに陥ることなく緊張感をたもって「理解可能」な描きかたになっている。現代の人間にまつわるもろもろの問題に積極的にコミットする近年の筆者のスタンスはそのままで、それらがより自然に(物語との破綻をきたすことなく)統合されているように思います。なので、これまでの作品を読んできた読者をして「集大成」といわしめる(Amazonのレヴューにありました)のも充分に理解できます。まあ、個人的には『葬送』とか『決壊』(ともに新潮社)みたいな重苦しいものが好きですが、ぜひ書き続けてほしい作家のひとりです。