読書記録『卑怯者の島』(小林よしのり)

Kindleで。日米戦争の末期、ペリリュー島での戦闘をベースに、「個人」を描いた。同著者の『戦争論』とは異なるストーリーものです。「ペリリュー島」というワードはあとがきのみに登場する。歴史的な事実の固有名詞を回避することで、より戦場における個人の心象にフォーカスされているように思う。「好戦でも厭戦でもない」というスタンスで、戦闘のカタルシスも、現代の視点からの戦争批判もない。大岡昇平の『野火』を読んだあとだし、『俘虜記』もいま読んでいるので、世界観が補完しあってイメージしやすかった。