読書記録『プリズンの満月』(吉村昭)

プリズンの満月

プリズンの満月

アジア・太平洋戦争(大東亜戦争)後、東京裁判で「戦犯」とされた人びとが収監された巣鴨プリズン。そこで刑務官として勤務した男の視点を通して、ひとつの戦後を描く。つくられた戦後平和主義的な歴史観・価値観からではなく、あくまでも同じ日本人でありながら「戦犯」を監理しなければならない人間の目を通して描かれている。そこにはプロパガンダはないが、それ以上になにか強いものを訴えている。