読書記録『過ぐる川、烟る橋』(鷺沢萠)12-2018

過ぐる川、烟る橋 (新潮文庫)

過ぐる川、烟る橋 (新潮文庫)

主人公がプロレスラーという、かなり異色な小説だと思うが、主人公のパーソナリティがグッとくる。自分の体のデカさに対する引け目、自信のなさ、それゆえにかつて気づくと道の端っこを歩いていた自分。社会的に成功した「いま」もその影を引きずっている。それは克服すべき自分の姿ではない。自分の在り方、そのものなのだ。