- 作者: 中村文則
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2017/06/22
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (8件) を見る
教祖・沢渡が意図的に「悪」を為すあたりは、こういうとアレだが共感を持ってしまうというか、善悪の彼岸について考えたことのある者であれば、程度の差こそあれ経験したことがあるのではないか。沢渡は、(『悪霊』の)スタヴローギンにはキリストという神がいるが自分にはいない、と言っているが、それでもひとが神について語る時、「神的」なものの存在を意識せざるを得ない。そういう意味で、自分自身の世界認識について改めて考えされられる本と思う。