読書記録『教団X』(中村文則)025-2017

教団X (集英社文庫)

教団X (集英社文庫)

単行本で平積みされている時に読みたいなーと思っていたが、分厚くでかいので文庫になってから読もうと思っていた。ドストエフスキーの『未成年』と『悪霊』の引用が出てくるので、自分としてはタイムリーなタイミングで読むことができたな、と思う。

教祖・沢渡が意図的に「悪」を為すあたりは、こういうとアレだが共感を持ってしまうというか、善悪の彼岸について考えたことのある者であれば、程度の差こそあれ経験したことがあるのではないか。沢渡は、(『悪霊』の)スタヴローギンにはキリストという神がいるが自分にはいない、と言っているが、それでもひとが神について語る時、「神的」なものの存在を意識せざるを得ない。そういう意味で、自分自身の世界認識について改めて考えされられる本と思う。