最近(やや)ノンフィクションに傾倒しているもので。
東京オリンピック直前の1963年、高度経済成長に沸く東京で起こった誘拐事件の顛末を描く。先に読んだ
吉村昭の『
戦艦武蔵ノート』で解説を書いていたのが
本田靖春氏で、著書を読んでみたいと思ったのがきっかけ。急激な経済成長、都市と地方(田舎)、人間のコミュニティなど、さまざまな要素を関連するさまざまな人物の立場から丁寧に描いている。「いい仕事」っていうのは、こういうものを指していうのだろう。
カポーティの『冷血』と比べて(いいのかどうかわからないが)、舞台が日本なだけに非常に生々しく感じる。