読書記録『だからこそ、自分にフェアでなければならない。プロ登山家・竹内洋岳のルール』(小林紀晴)

写真の小林紀晴氏が日本初の14サミッター・竹内洋岳とともに山に登り(のんびり登山という感じです)、インタビューをしたもの。インタビューとしてはあまり深みを感じないが、これまでメディアで語られてきた竹内洋岳の考え方のエッセンスは凝縮されているような気がする。心が動いたフレーズを少々。

運は存在しないというのが私の山登りです。運で片付けてしまうと、その先考えようがなくなっちゃうわけです。そこで思考が停止してしまいます。(中略)私たちは想像するために山に行ってるわけですから。
(pp.28-29)

経験に頼ると、つまらないと思うのです。わからない、知らない方が断然面白いわけです。前回こうだったから今回こうだって思ったら、極端なことをいえば、もう山なんて登らなくていいわけです。経験を積むという言葉がありますけども、私にとって経験は積むものじゃなくて並べるものだと思ってます。
(pp.61-62)

山登りの頂上は別に到達点でもないですし、折り返し地点でもない。ただの通過点でしかない。もし登頂の刹那というものが
あったとするならば、登頂前の刹那と登頂後の刹那は、私にとっては存在意義があまり変わらないような気がする。
(p.159)