読書記録『宇宙船とカヌー』(ケネス・ブラウアー)

宇宙船とカヌー (ヤマケイ文庫)

宇宙船とカヌー (ヤマケイ文庫)

まず題名がよい。原題はそのまんま『THE STARSHIP AND THE CANOE』。スペースコロニー建造を目指す物理学者の父親・フリーマンと、カヌーに魅せられ大自然のなかで生きる息子・ジョージの生き様を描くノンフィクション。

正直、翻訳文体が苦手なのでなかなか読み進まなかったのだが、花粉症が始まり電車通勤が多くなったのでなんとか読了(翻訳でスラスラと読めたのは柴田元幸のオースターくらいだろうか)。筆者は主人公の親子と一定の距離を保っており、深入りしない、あくまでも観察者としての立ち場で描いている(少なくともそう思われる文体で描いている)。なので淡白で退屈といえば退屈。しかし最後のほうで、ジョージが難破した舟の乗員を助けるくだりがあり、ここで息子に感心するフリーマン。ここでなんか泣きそうになりました(花粉症の症状チックにごまかしましたが)。