読書記録『高岳親王航海記』(澁澤龍彦)34-2017

高丘親王航海記 (文春文庫)

高丘親王航海記 (文春文庫)

薬子の変で皇太子の地位から除され、出家して天竺を目指し、マレー半島の南端に消えたといわれる高岳親王を主人公にした航海記。ほぼフィクション。

尊敬する畏友のひとりが激しく勧めていたので。ひとことでいうと、自由度が高すぎて、こういう発想でものを書くことのできる人間がいたことに驚き、未読だったことが悔やまれる。知識とか技術だけではなく、遊び心や人間の存在に対する愛着(ライトな執着といってもいい)がなければこういうものは書けない。『快楽主義の哲学』(文春文庫)という本も書いているので合わせて読みたい。

余談になるが、大学時代に旅したマレー半島付近が出てくるので、それも読んでいて楽しかった。