読書記録『緋文字』(ホーソーン)015-2017

完訳 緋文字 (岩波文庫)

完訳 緋文字 (岩波文庫)

なぜこの本を読むことになったのか。たしか映画「白鯨との戦い」でホーソーンの名が出てきたからだったと思う。17世紀のアメリカ(ボストン)が舞台。姦通の罪を犯した人妻ヘスタと、その相手の牧師、夫の3人を中心に話は展開する。「原罪」的な罪の意識という話というよりは、ピューリタニズムがベースになっている社会における姦通罪という実際の罪と、その罪を犯した人間の内面が描かれている。

罪を告白すること、ってどういうことでしょうね。おれは、「カミングアウトすることでラクになりたい」という意思をそこに垣間見てしまうけど、それはものすごく自己満足的というか、それで満足してしまうのであれば、一種の自分に対するまやかしであって、手放しに肯定できることではないと思う。だが、(もちろんそれでも最終的に救われるわけではないが)そのことで少し自分を正当化できる、それで少しでも生きていけるのであれば、手段としてはとても意味のあることだ。