読書記録『槍ヶ岳開山』(新田次郎)

新装版 槍ヶ岳開山 (文春文庫)

新装版 槍ヶ岳開山 (文春文庫)

9月の連休に槍ヶ岳に登ったのでその勢いで。槍ヶ岳を開山した播隆上人の半生を描く。

百姓一揆の混乱のなか、誤って妻を殺害してしまったのちの播隆が出家し、修行を重ねながら笠ヶ岳を再興、そしてついに槍ヶ岳に登頂する。好きか嫌いかでいえば好きな小説だし、北アルプスのフレッシュな記憶を持ち帰ったばかりの自分としてはかなり楽しく読んだ。しかしながら、宗教ものというのは、筆者がその宗教に強いこだわりを持っているのといないとでは、その描きかたの深さが大きく違うような気がする。例えば遠藤周作なんかと比較してしまうとなんとなく浅はかな印象になってしまうのは否めなかった。