読書記録『十字軍騎士団』(橋口倫介)

十字軍騎士団 (講談社学術文庫)

十字軍騎士団 (講談社学術文庫)

前に読んだ『ジャンヌ・ダルク』『魔女狩り』の流れでたどり着いた十字軍騎士団。なんの流れかというと、「異端審問」に興味をもったから、ということになる。まあ、世界史で習う「十字軍遠征」だが、歴史に弱いうえに記憶力が昆虫レベルのおれとしてはなんとなく、キリスト教圏の戦士たちが東に遠征したのだな、くらいにしか知識がない。なので、十字軍騎士団の性格とか当時の世界での位置付けとかよくわからない。ただなんとなく、騎士にあこがれを抱き風車に立ち向かうドン・キホーテのイメージくらいしかない、といっても言い過ぎではない。まあ、つまりこの本は、そこんところを深く突っ込んだマニアックな十字軍研究の書物な訳だが、詳細に過ぎる点も多いのでそれほどコアではない読者は飛ばし読みでも要点はつかめる。

その宗教性、神秘性などから当時の世界では高い地位を占めていたテンプル騎士団は、最終的に異端審問にかけられ火刑に処される。筆者はその根拠を絶対主義王制とのバッティング(語弊があるが)に求めているが、それプラス当時の魔女狩りの雰囲気がそうさせたのかな、とか思ったりする。読後感としては、異端審問の項はもっと詳しく知りたいと思った(本書の目的では無いかもしれないが)。十字軍異端裁判のもっと細かい記録なんかを読んでみたい。