読書記録『ジャンヌ・ダルク―歴史を生き続ける「聖女」―』(高山一彦)

ジャンヌ・ダルク―歴史を生き続ける「聖女」 (岩波新書)

ジャンヌ・ダルク―歴史を生き続ける「聖女」 (岩波新書)

ことしのNHK大河の主人公、山本八重が「幕末のジャンヌ・ダルク」とかいわれているらしいのだが、ふと思えば、なんとなくジャンヌ・ダルクというイメージはあるが、よく知らんな、おれ、ということでようやく読むことができました(教養が全くない)。

陳腐ないい方だが、この本はおもしろい。なにがおもしろいかというと、フランス開放のためにたたかい、終いには「異端」とされて火刑に処せられるも、死後、復権裁判で「聖女」とされたジャンヌ・ダルク。そのとても興味深い存在が、後世の人間にいかに受容されたか、いかに描写されたか、それをジャンヌへの愛情いっぱいに、しかもがんばってその溢れる想いを抑制しながら客観的であろうと努力する筆者の必死の形相が感じられるからだ。

この手の本は、いかに筆者が対象を愛しているか、それがおもしろさに直結している。