読書記録『空白を満たしなさい』(平野啓一郎)029-2017

空白を満たしなさい

空白を満たしなさい

1年でいちばん多忙な時期を乗り越え、時間ができたので、なんとなく再読。作者の提唱する「分人」主義が明確に表れた、「自殺」と「復生」を描いた小説。むしろ「自殺」と「復生」を描くことで、分人主義を提唱する小説。分割不可能(イン・ディヴィジュアル)な単位である「個人」と、そうでなければならないという無意識の強迫を客観的に見つめ、そんな自分のあり方と自殺しないで付き合っていく、そういう考え方(と思う)。

主人公・徹生と同じ「復生者」、ラドスワフとのダイアローグが好きな小説。