ひとことでいうと、強烈で濃密。あまりにも笑えて泣ける青春私小説。とにかく騙されたと思って読んで欲しい一冊。リアル『魁!男塾』といっても過言ではない世界観は非常にマンガチックで実際に漫画化もされている(漫画は未読)。
七つの旧帝大体育会が定期戦で毎年争うのだが、七帝柔道はメインストリームの講道館柔道ではなく、寝技のプライオリティが高い高専柔道がルーツらしい。強豪校の推薦入学などで大学で柔道を続ける選手たちと違い、普通に受験勉強をし、将来柔道で食っていくわけでもない北海道大学の学生が(一年目から柔道を始め強くなっていくズブの素人もいる)、極寒の札幌でマイナーな柔道を続けながら、泣き、笑い、怒り、呻吟し、騙され、気絶させられる日々を描く。
こんな世界があったのか驚きともに、自分はそのような濃厚な時期を持つことができなかったことに対し、人間的なジェラシーを覚える。それほどエモーショナルだ(若い人はこれを「エモい」というのだろうか)。自分は高校まで剣道をやっていたので体育会的な雰囲気は懐かしく、かつ大学生のメチャクチャな行事なども学生寮に住んでいたのでかなり親近感を覚えた。
なんだか日々の仕事に嫌気が差していたが、仕事を含めいろんなものに向き合う姿勢を再考するいい機会になった。ぜひおすすめする。