1960年に起きた「浅沼稲次郎暗殺事件」を描いたノンフィクション。前から読もうと思っていたが、けっこう重厚でこたえそうなのでしばらく放置しておいた。今年に入ってノンフィクション熱が出てきて多読しているので、その勢いでこのまま行こうと。
当時の社会党委員長である浅沼稲次郎と、右翼の17歳・山口二矢が日比谷公会堂の一点において悲劇にも交錯する瞬間を、それまでのふたりの生きてきた過程、周囲のひととの関わり合いを描くことで濃密に浮かび上がらせる。
「悲惨」な事件は日々起きており、毎日のニュースの中で現れては消える「消費」を繰り返している。だが、それぞれの事象には、われわれが感じ、想像できる以上の背景がある。スマホの画面を消費するよりも、なにかにいちいち深く潜り込むことが肝要だ。