アルトラの靴

ウルトラの父」みたいなタイトルですが、トレイル(ランニング)用のシューズの話です。

 

インターネットのいいところは情報が多いことですが、玉石混淆で実際に価値のあるものって少ない。自分はネットサーフィンをするときは、だいたい製品のレヴューか、ニュースのコメント欄をハナクソほじりながら眺めるのだが、それこそ玉石混淆で、だからこそおもしろい、暇つぶしに値するといえるものの、とくに製品レヴューなんかでは、「コレ、誰得なの?」っていうものが多い。

 

んで、翻って自省するに、なんか書くときに誰かのためになればいいな、と少し思うわけです。ということで話が飛ぶが、靴とか服とかのサイズ感に関する情報が、マイナー製品であればあるほど少ない。たまにちゃんと書いているひとがいて、超パーソナルな情報ながら、すごく人のためになるなーって感心するわけです。今回は、そのマネをしてみようってわけです。

 

さてアルトラ。検索でこの記事にたどり着くようなひとは、だいたいこのブランドは知っていると思いますのでカンタンに説明すると、ゼロドロップ(ソールの厚み(地上高)が前足部とカカトで均一)でつま先部分にスペースがある幅広のシューズを作り、裸足で走るような「ナチュラルランニング」を提唱しているメーカー、ということになります。

 

今回は自分がこれまでに履いたアルトラのシューズについてです。あと、意外とひとの記事を読んでいて、ほしいけど無い情報は、その靴を履いたときどのようなソックスを使っているかというものなので、今回は靴下についても触れてみました。モデルとサイズ、感想を列記します。とくにこれから履いてみようというひとの、少しでも参考になれば幸いです。

 

Lone Peak 1.5 26.5
Lone Peak 2.0 26.5
Lone Peak 2.5 26.5
Lone Peak 3.0 26.5
Lone Peak 3.5 26.5
万能靴。アルトラ入門的な存在かつ、100kmオーバーでのウルトラトレイル、荷物が多いハイクにも対応する、レースでも着用率が高いシューズ(完全に主観です)。とくに3.0以降、弱点がほぼないと思われる。グリップの弱さを気にする声も聞いたことがあるが、スリッピーな状況でもそれほど怖い思いをしたことがない。歩きかた、走りかた、用心のしかたでいくらでもカバーできると思う。だいいちロングレースほど舗装路を含め様々な路面に対応しなければならないのだから、(少なくとも自分の使いかたでは)必要にして充分と思っている。
 
・ローンピーク サイズ感とソックス
2.5以前はファストパッキングで使うことが多かったので、インジンジinjinjiの厚手のソックスTrail Midweightとの相性が気に入っていた。3.0以降はアッパーが固め、空間が小さくなっている。以前よりも足にシューズのアッパーがフィットし、ヒールカップも硬くスリムでコンパクトになっている印象なので、よりトレイルランニング時の足さばきが良くなっている。
 
3.0以降は、自分のなかでの「勝負ソックス」であるかなり薄手のイトイテックスItoitex(紙製で軽量性と乾きやすさが売り)との相性がよい。ちなみに3.0から3.5にかけてさらにサイズ感が小さめになっていて、ハーフサイズ上げて履いているという記事を見たが、たしかによりフィット感は上がっている。それでも自分の足ではサイズアップするほどではない印象。
 
 
Superior 2.0 27.0
Superior 3.0 27.0
スペリオールは自分史上の最高のトレイルを楽しむシューズと思う。70km程度までのレース(伊豆トレイルジャーニーとかスパトレイルとか)、とくに「走れる(走らされる)」レイアウトのコースでは、足さばきが軽く、トレイル用としては薄めのソールが路面の情報をよく伝えてくれて、トレイルと戯れる「楽しい」シューズかと。レースによく出てくるような、砂利の粒が大きい林道なんかでは、付属のロックプレート(中敷の下に入れる樹脂製のプレート)があると助かる。最近はロングレースで脚を残すために厚底に頼りがちだが、練習はスペリオール、ウルトラトレイルの本番はローンピーク(あるいはティンプ)という使いかたがいいかもしれない。
 
スペリオール サイズ感とソックス
ローンピークよりもハーフサイズ大きいものを履いているが、フィット感が高い(足の甲に沿って「ひっついている」感じで、土踏まずから甲にかけてもカーブに沿ってくるまれている感じ)ので、薄手のイトイテックスか、インジンジのLightweightがベスト。薄い靴下を履くのも、このシューズのコンセプトに合っていると思う。
 
Timp(初代) 26.5
模索中。ローンピークよりも厚底なので、ウルトラトレイルに積極的に使いたいが、ソックスを含めフィッティングに成功していない。トゥーボックスがかなり広いので、紐をしっかり締めてヒールロックしないとトレイルの下りで、つま先が前に動いて靴に当たる(しかも左よりも小さい右足の親指の上側が当たる)。新しく出た1.5を試したいが、個人的には血流を確保するために横にずれたシューレースよりも、新しいスペリオール4.0のアッパーで、ティンプのソールのシューズを出してほしい。初代ティンプを170km履いた感じだと、自分の足にはアッパーの空間が大きすぎて「走る」気がしない。充分長く走れるシューズではあると思うが。コンセプトがバッチリだけに、自分に合わずいまのところ残念。
 
ちなみロードシューズのDuoデュオも使っています。ホカオネオネでいうクリフトンか、もう少し軽い部類の位置づけかと。これは26.5cm。軽量性と通気性を追求するあまりなのか、アッパーの素材が薄く伸縮性も無いので、空間が大きく、アソビがあるように感じる。インジンジのRun Midweightで履いているが、それでも付属の細い紐でしっかり締めようとすると、アッパー全体ではなく点で甲を圧迫しすぎるきらいがある。また軽くするためだと思うが、抜きのあるソールは小石が挟まりやすく、けっこう走っていてストレスを感じる。アッパーの指のつけ根まわりのメッシュもあまり強くはないようで、走行距離300km超えたあたりでダメージが出てきた。愛ゆえに小言を書いてしまったが、コンセプトやルックスは気に入っている。